アニメの感想を書く。

アニメを観て、感想を書きます。

魔女見習いをさがして

おジャ魔女どれみ」20周年記念作品。

(和泉彼方のおジャ魔女歴は大人になってから無印全話を観たのみ)

 

11月19日に鑑賞して来ました。

落ち着いて記事にしようと思ってたら、
コンディションがなかなか作れずに半月が経過してしまった…。
 
細かなネタバレはしてませんし、
もう公開から3週間とか経過してるのでいいかな~とは思うのですが、
一応、たくさん改行しておきます。
 
以下は自己責任で閲覧してください。

 


















 

安易にMAHO堂メンバーの新作にするのではなく、
新規に立てた「おジャ魔女を観て育ったというキャラクタ」三人を
主人公に据えたというアイデアが、まず素晴らしい。

この図式はそのまま往年のどれみファンでこの映画を観に来た人たちに
(おそらく8割とか9割の来場者が該当するのではないか)
当てはまるので、
その人たちの共感が得やすくなっていることがひとつ。

作中、主人公がMAHO堂メンバーの言葉や行動を思い出すことによる心情の変化、
決意といったことが度々起こるわけだが、
これに対する視聴者への説得力が半端ない。

更に、主人公の回顧、イメージでしかMAHO堂メンバーが登場せず、
そこで口にする言葉は従来のシリーズで語られたものや
作品に通底するメッセージであるがために、
視聴者の思い出を決して裏切らないこともポイントだ。
 
時代設定に現代をミックスして、あるいは相応に年齢を重ねさせて、
MAHO堂メンバーを主人公とした新作も、作れないことはないだろう。
(実際に16歳、17歳となった彼女たちが主人公の公式小説が刊行されている)
しかし、その中でかわされる日常的な会話において、
例えそれが成長ゆえのものであっても
「○○ちゃんはこんなこと言わない」を感じさせないことは不可能に近いし、
時代や年齢が変わったのに小学生当時と同じレベルの会話をさせていては
作品として不自然である。
 
そういったリスクを回避し、且つ、
(新たな主人公を通じて)従来シリーズで発していた本質的なことは口にしてくれる
MAHO堂メンバーは、
新たな主人公らの間でそうであるように、
視聴者の中でもある種の神格化に成功したと言える。
 
MAHO堂メンバーは裏切らない(ラノベタイトルふう)という安心感。

かくして、MAHO堂メンバーは
共感、説得力、安心感という三種の神器を携えて
周年作品としての新作に降臨した。
 


翻って、新たな主人公3人はどうだったのか。

「彼女たちは2020年という現在において、視聴者と共に様々な旅をした」と
言えると思う。
 
それは、
聖地巡礼という実際に土地を巡る旅であり、
折りに触れ蘇るMAHO堂メンバーとの思い出の旅であり、
それに付随する自身の記憶、生き方と向き合う内面への旅である。
 
多くの視聴者は彼女たちよりも少し(あるいは大きく(笑))年上で、
だからこそ彼女たちを見守りながらも、
スクリーン越しに彼女たちと同じ旅をしたハズだ。

 

スマホ、LINE、SNSといった現代のツールを取り入れて時代性を演出しながら、
発達障害、帰国子女、会社(組織)との折り合いなどの
これまでも、これからも在り続ける問題への関わり方を描き、
何より、友人や未来と真剣に向き合うことを説く。
 
その過程を描くための背骨として制作陣は「聖地巡礼」という
旅として象徴的な仕掛けを用意し、
困難に対して背中を押す存在としてMAHO堂メンバーをスタンバイさせながら、
そこにすべてを落とし込んでいった。
 
LINEを使った従来シリーズ同様のテンポの良さは流石だったし、
それにより新たな主人公3人(と3人の関係性)も十分魅力的に映っていた。
(そういう指導があったのは間違いないだろうけど、
 森川葵松井玲奈百田夏菜子の芝居もしっかり「おジャ魔女」で見事だった!)
SNSを用いた現代の人間関係描写もうるさ過ぎず。
そもそも、3人の出逢い方、繋がり方がまずもって現代的だ。
(20年前であってもこういった繋がりはあっただろうけど、
 そのハードルは今よりも遥かに高かったハズである)
また、京都での決定的なものも含め、
従来シリーズのファンがニヤリ、あるいはドキリとせざるを得ない声優の使い方も、反則的。
 
そして。

MAHO堂で出逢った3人が、
3人で共にした(同時にそれぞれのものでもあった)旅に
ひとまずの区切りを迎える時に、
その終着点で新たな出発点としてMAHO堂が選ばれるのは
当然の、そして美しい帰結。
 
長々書いてきた背景全部すっ飛ばして何も考えずに観ても、
楽しくて綺麗な作品だったと感じられるエンディングだと思います。 
 


従来シリーズのキャラクターを決して損なわず、
時代や新たな主人公の年齢ゆえに従来シリーズとは異なる
向き合うべき問題を取り入れながらも
本質的な部分で同じものを大事に描いてることがきちんと伝わる内容…。
また、
「間違いなく新作として現代を描きながら
 従来シリーズの匂いや手触りは常にある」
というバランス感覚は、称賛されていいでしょう。
 
 
 
観終えた直後の、
とりあえず1ツイートにまとめておこうというやつを貼りつけて
この記事を終わりにしようと思います。